シラスコンクリート
アトリエ天工人・山下保博さんの大臣認定取得した環境型シラスコンクリート住宅のオープンハウスに行ってきました。
環境型シラスコンクリートの開発を知ったのは、2013年5月のTED×Sakurajimaでの山下さんのTEDトークでした。ちょうど鹿児島でSHIRASUの現場が進行中だった私は現場監理にあわせて、鹿児島大学で開催されたTEDに参加していました。「素材の声を聴く」と題されたトークの中で、この環境型シラスコンクリートの開発について一般の方にも分かりやすく説明され、聴衆から多くの感動を集めていたのを思い出します。
それから2年の実験・認定取得を経て、日本で始めてのシラスコンクリートによる住宅ができたというのです。実際に見るシラスコンクリートは、緻密でなめらかな表情をしていました。
置かれた試験体を触るとやさしい肌触りで、普通コンクリートと比べ軽い。
(※写真左がシラスコンクリート)
シラスの微粒子を生かして高流動なコンクリートであるため、斜めに切り取られた開口部のコンクリートは、まさに切り取ったようにエッジが利いている。これは開口部とスラブとの隙間のような小さな開口部に象徴されている。
コンクリートで内外を包み込んで欲しい、という施主の意向があったというが、そのため断熱材はなく、シラスコンクリートが仕上げとなっている。温熱環境を整えるために環境エンジニアの山田浩幸氏との共同で、4層吹き抜けの階段室の煙突効果を利用した上下階の熱を循環させるシステムは大変興味深かった。
アトリエ・天工人の3つの方法論の中の1つの「クライアントと共に創るアプローチ」の重要さについて、山下さんともお話させていただく中で、建築家として自律した立場から設計をするのではなく、改めて私も共に創る方法を意識的に設計しなければいけないと思いました。
今後の山下さんのシラスコンクリートの展開が楽しみです。